インプラント 料金を確実に手にする方法

併用を認めない理由は、医師から保険では認められていないが必要であると言われた場合には患者として断ることが難しく、そうなると医療保険があっても安心して受診できなくなるからである。
なお、こうした差額徴収を認めるとしだいに高いほうの水準に合わせて医療サービスが提供されるようになり、公費の医療費も全体の医療費もともに増加してゆく。
診療報酬体系は全国一律の料金体系であり、同じ診療行為に対してはほとんどの場合、同じ料金が適用される。
医師の技術レ、ベルは問われず、卒業したてであっても、ベテランであっても支払われる額は同じである。
また、医療機関の特性や所在地も関係せず、都会の大学病院でも離島の診療所であっても、料金は同じである。
例外は初診料、再診料、特定疾患療養指導料と、入院した場合の室料〔入院環境科と呼ばれている)だけである。
前著が異なるのは後述するような政策的な誘導策のためである。
後者は地域によって差があるが、最大でも一日当り一八〇円(平成七年現在)にすぎない。
以上のような構造があることは、診療報酬体系は決して各医療機関で実際に発生したコストに基づいて料金を決めていないことを意味している。
というのは、コストは医師の経験、および医療磯閑の特性や所在地によってすべて異なるからである。
それでは、全国の医療椀関における平均的なコストに基づいているかといえば、必ずしもそうでもない。
実は昭和二〇年代の終わりに、厚生省は国立病院を中心に大がかりなコスト分析を行ったが、調査した病院の間にあまりにも開きが大きいことが判明したので二度と実施されることはなかった。
そのうえ、調査に基づいて策定された新しい料金表(甲表)に対して、前章で述べたように日本医師会が猛反発したため、従来からの料金表が乙表として残ることになり、各医療機関は甲乙のいずれを採用してもよいことになった。
その結果、ほとんどの医療撥関は乙表を選んだ。
したがって、現在の診療報酬体系を理解するためには、乙表の原型となった昭和二年の健康保険法の施行当時の料金表に遡る必要がある。
第二章で述べたように、当時医療といえば開業医が外来で行う診察を意味し、病院のかげは薄かった。
また、健康保険法の施行による財政支出の増大が危惧されたので、一般の慣行料金よりも二割程度低いレベルに設定された。
さらに医師にとって薬の調剤は重要な仕事であり、「一点」の基準も一日の服薬量が基準となって設定された。
健康保険法が施行されると、診察料が未収金となる(患者に支払ってもらえない)危険性がなくなるので、点数を低く設定しても損にならないというのが当時の政府の見解であった。
また、健康保険の対象者は当初ブルーカラーに限られており、大部分の患者は自由診寮であったので、依然として従来の料金で請求できたことも医師が強く反対しなかった理由の一つであった。
こうしたルーツは現在においても色濃く反映されている。
第一に、未だに「診療報酬」と呼はれていることが象徴するように、現在でも料金体系の基本は個人開業の医師に対する報酬という性格を持っており、病院における入院料等はそれに追加されているにすぎない。
そのため、たとえば施設設備の資本コストや事務管理のコストに対しては費用保証を直接請求する方法はなく、運用益の中から捻出されている。
また、保険からの支払はすべて医療機関に対して行われており、医師個人にではない。
したがって、病院で診療している医師は患者から直接報酬を得ることができず、個人病院の病院長を除いてすべて給料で雇われている勤務医である。
これは先ほど述べた診療報酬は医師のために考案されたという事実と矛盾するようであるが、当時の医療機関のほとんどは個人の診療所であったので、医療機関に払うことは実質上は医師個人に払うことを意味した。
この場合は、診療所の諸経費を払った残りが医師の所得となるが、現在においても個人病院ではこのような形で税務上は処理されている。
欧米の病院では、病院に対する支払と医師に対する支払が別であることが基本である(いわゆるドクターフィーと、ホスピタルフィーの二本建て)が、日本では病院の発達が遅れたうえ、診療所との分化が進まなかったので、こうした方式が採用されていない。
第二に、診療報酬の料金はその後も低い水準に据え置かれており、平成四(一九九二)年時点のアメリカのメディケア(公的老人保険)と購買力平価換算で比べれば、シャオの試算による日本の点数表は概して四分の一程度の水準である。
それは初診料(日本でおよそ二〇〇〇円)のような診察料で比べても、CTスキャン(同一万四五〇〇円)やバイパス手術(五六万円)のような高度技術で比べても、両国の格差はほぼ同じである。
メディケアでは施設使用料は別途病院に請求されるが、逆に手術前後の診察は手術料に含まれるので独自に計算する必要がある。
購買力平価で換算する必要性については「はじめに」を参照。
なお、シャオほメディケアの医師報酬体系をテザインした中心人物であり、我々の研究にも参加している。
第三に、医療機関にとって薬の調剤は重要な業務であり、病院の八五%、診療所の八〇%は自ら行っている。
外部の調剤薬局に出さない理由の一つは、薬価差益(、保険で定められている薬価と購入価格の相違)が存在するためであり、それは病院収入の七%、診療所収入の一二%を構成していると推計されている。
診療所のほうが高い割合になっているのは、診療所が扱う外来医療のほうが、病院よりも医業収入に占める薬剤の割合が高いことが主な理由として考えられる。
さて、診療報酬体系は過去のしがらみで以上のような問題点を抱えているが、後述するようにその時々の状況に対応してフレキシブルに改定作業が行われており、また中医協で全国一律の料金体系を決める方式にはそれなりの優れた点もある。
まず第一に、そもそも医師の適正報酬を決めることが難しいことから分かるように、もともと各医療サービスのコストを計算することは困難な作業である。
グレイザーが強調しているように、医療サービスの単価を決める際の大原則は、診療側、支払側が定期的に交渉することである。
したがって、過去の実績をベースに、交渉によって決めるのはむしろ道理にかなった方法であるといえよう。
第二に、実際のコストは都会のほうが確かに高くなっているが、医師に限っては逆に農村のほうが高くなっている(医師は都会に住むことを好むので、高い報酬を出さない限り農村にはいかないため)。
したがって、原価補償という観点からすれば、確かに農村の中小病院のほうが有利であるが(そのため民間病院については農村部のほうが一般に広く、きれいである)、必ずしも見かけほど大きな格差ではなく、また農村部における医療を確保するうえで貢献しているといえよう。
第三に、支払方法についての交渉を一括して行うことは非常に効率的である。
極端な話、もし現在五千以上ある個々の保険者が、一〇万近くある個々の医療機関とそれぞれ個別に交渉すれば、膨大な事務量が発生し、またそれを処理できるような管理の専門家を高給で雇う必要が生じる。
ちなみに、こうした状態に近いアメリカでは、医療費全体に対する事務費の割合は日本の二倍以上であると推計されている。
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